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ぺんぎん日記

記録。
by penguintankentai
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書かなかったこと。CEFの副作用について。「嘔吐」

今。
化学療法を受けてる仲間に。
みんなに。

いっぱいの。
だっこ&ちゅうを。

受けてるときは書けなかった。
これを聞いたら抗癌剤の治療受けませんって言う人が居るかと思って。

今。書こうと思ったのは。
心まで痛めつけられた副作用のことをやっぱり書かなくちゃ。
そう思ったから。

読みたくない人はスルーしてくださいね。












点滴=嘔吐の図式をあたしの心に刷り込んだ治療。

こんなの治療じゃないよって毎回思った。
点滴すると人間じゃなくなるんだもん。
分かってるんだよ。
副作用がどうくるか知ってるんだよ。
軽いかもしれないし。
今までに無いくらいしんどいかもしれないし。

でも。確実に。来るんだよ。
内臓が裏返るような吐き気も。思考さえもぼんやり曇って。
その度になんでこんな治療なんだろうって涙が止まらない。
起き上がれないから寝たままで。
ただただ涙が流れていくんだよ。

投与の3日くらい前から体の準備があたしは始まる。
なるべく便秘にならないような食生活を心がけて。
買い出しに行くとゼリーやジュースやサイダーや。
自分の点滴後の食事をカゴに山盛りに入れて溜息をついてた。

普通に買って食べたら美味しいんだろうなぁ。
なんでこんなのの為に買わなくちゃいけないんだろうなー。

初回のCEFの前投薬の安定剤と下剤で前の晩から人間じゃなくなって。
本番の朝には安定剤。朝の分を飲んだら眠たくてしょうがなくなった。
先生との会話もままならない。
入院の間中あたしはほとんどの時間眠っていた。

初回は成功らしいが。
人間じゃ居られない程の薬じゃないと抑えられないのか?
あたしは人間で居たい。

2~4回目は安定剤を勝手に半分にした。
人間で居たかった。

点滴の朝も意識は起きていられた。
点滴が始まると胃袋と喉の奥、鼻の奥がつーんと薬臭くなる。
あーきたなぁ。。嬉しくないなぁ。。
そうこうするうちにやたら鼻が利き出す。
全ての匂いがあたしの鼻に飛び込んでくる。耐えられない。
早く家に帰ろう。

夕方から胃袋が独立して気持ち悪くなる。
全身の毛穴からぼぉ!って汗が噴き出して。
その次には一瞬で体が冷えて。
胃袋が勝手に動き出すんだ。
汗が噴き出すと同時に体を無理矢理ベッドから引きはがして。
嘔吐専用のくずかごを引き寄せ体に力を込める。
そうしないと倒れそうだから。体が支えられないから。
胃袋が空っぽになるとちょっとだけ楽になる。
くずかごの始末をよろよろしながらして。
トイレに寄って。
後はまたくずかごぶら下げてベッドに戻る。

水も飲めない。
飲んだらどうなるかあたしは知ってるんだもの。
夜眠るまでにそれは2~3回。
ひどいときには夜中も飛び起きて嘔吐していた。
当然のように朝にはぐったり。起きられない。
家族が出かけてしまってから起き出して
なんで体がこんなになっちゃうんだろうって。
でもその時は泣く元気も無くて。
ぼぉっとしたまま。

何か食べようかな。
食べたいな。お腹こんなにぺったんこなんだ。
ぐうぐう。。鳴ってるのにね。

食べたらアレがくる。
そう思うと食べられなくなる。
飲むことも出来ない。
うがいだけしてまたベッドへとぼとぼ。。。

嘔吐が治まるまで3日くらいは絶食状態。
分かってるから食べたくない。

人間に戻れるまでの時間は平均で5日。
いつもの半分量の食事が摂れて。
夕食が作れる。
そんで。家族が揃う夕方の2時間くらい起きていられる。




こうなる原因は抗癌剤の点滴だって分かってる。
分かってるのに受けなきゃならない。
何度もやめたいと思った。
病院に行くのをキャンセルしようかと思った。
白血球が下がったら受けなくていいななんてことも思った。

あたしは。
あたしは。

なんで治療を続けてきたんだろう?

両親と今後の治療を巡って意見の食い違いがあったこと。
とにかく先生が提示してくれた標準治療ってのを終わらせないことには
親も。あたし達も。納得がいかないだろうと思った。

データ上の数値でもいい。信じたい。
少しでも長く子供達の成長を見たいと思った。
体がどんなにきつくても子供と一緒に居たいと思った。

でも。CEFの副作用はあたしの予想を遙かに超えた。
冗談じゃない。
治療という名がついてるけどあたしはどんどんあたしじゃなくなる。
人間でもなくなっていく。
普通のことが出来なくなるのに治療って言うの?

退院したばかりの術後3週間のあたしより
点滴後のあたしの方がダメじゃん。

それでも。
2週間もするとそれなりに普通になって。
ご飯は今までと同じくらい。
2~3キロ減ってしまった体重もほとんど戻せる。

次が来る。
次が来る。

予想もつかない次がまた来るんだ。

5回目が終わったとき6回目が終わったらやめようと思った。
6回目が終わったときはタキソールやめるって決めてた。

だんなにも言った。
「もう。やめる」
「なんでこうなるって分かってるのに受けなくちゃいけないの?」

子供達の前で泣きながら吐いた。吐いた。
「もうやだよぉ~!」って泣いた。

先生に「やめちゃダメかな」って言ってみた。




その時の日記は。
自分で避けたいってこともあって。
あとは。終わったぞぉって嬉しさもあって。
笑える部分もあったと思う。




あたしは毎回毎回。
苦痛だった。
治療をやめたいと毎回直前まで心はぐずってた。

イヤなのは当たり前だと思う。
あの時はイヤだと思うことが逃げみたいに思っていた。
治療したいと燃えてる部分もあった。

この治療は心の元気まで奪う。
聞いていても実際に体験するのは違う。

癌になっただけで充分じゃないのかな。
胸を取られたのに。まだ足りないのかな。

そう思いながら居ました。
今あたしはタキソールの治療を受けていて。
それはこれから。終わったらまた書けると思います。

今。
化学療法を受けてる仲間達に。
だっこ&ちゅうを。いっぱい。

治療が終わったとき。
自分をいっぱい褒めて抱きしめてあげられるよ。

by penguintankentai | 2006-03-30 20:54 | ひとりごと
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